「何かあったのか?」

洋介が聞いてきたので、
「ううん、何にも」

私は首を横に振って答えた。

「行きましょ、洋介」

そう言った私に、
「ああ、行こうか。

さゆり」

私たちは家を出ると、大家さんにカギを返した。

返した後、タクシーに乗って空港へ向かった。

「洋介」

「んっ?」

「私、幸せよ」

そう言った私に洋介は笑うと、
「じゃあ、もっと幸せになろうか」
と、耳元でささやいた。

私は、これからも洋介と共に生きて行く。

一緒に、幸せに。

これが、私の家族と幸せだから。