〜赤と青〜



色が青になると、みんな機械のように動き出す。





「ちぇっ!!」



集団の先頭で、ひとり進まないアタシに舌打ちが飛ぶ。





ここにいる人達には、行くべき場所があるんだ。



アタシの目的地は?



アタシには、それがない。



アタシは人生の迷子。



この迷路のような複雑な道は、不器用なアタシには難しすぎる…。





青色が赤色に変わる。



慌てて駈け出す人達。



その背中をただ見つめて、立ち尽くすことしかできないアタシ。





「大丈夫だよ」



誰かが、そう言った気がした。



振り向くと、アタシはまた集団の先頭になっていた。





再び色が青に変わる。



小さな一歩を踏み出す。



「進もう」