(あーあ、せっかくの桜も、散ればただのゴミ扱い)

「夢が無いよねぇ…」

私は足元の踏みつぶされた桜の花びらを見下ろしながらポツリと呟いた

「ね、ね、見てみて?桜の絨毯みたい!凄い綺麗だねぇ♪」

遠くから聞こえる声

(なんて感性豊かな…)

そう思いながら顔をあげた

すると、声の持ち主らしい子が友達に小突かれながら花びらを拾っていた

「やめなよ、香。汚いよ?」

「でも、踏まれたら可愛そう」

(天然…?)

声の持ち主は”香”というらしい

私は思い出したように着なれないブレザーの袖をめくり腕時計を覗いた

「あ、遅刻かも…」

呟きながら歩調を速め、学校へと急いだ――――