注文するのは牛鍋と決まっているのに、それぞれメニュー表を開き熟読する。

メニュー表の隙間に何か自分たちの知らないお得情報でもあったらソンだといういやしい考えによる行動である。

そして二人ともが何もない事を確認し終わるとボタンを押す。

「ポチっとなー」

ボタン類を押す時には言わずにはいられない哀しいサガだった。

「お待たせしましたご注文はお決まりですか」

「いつもの」

「かしこまりました牛鍋定食とドリンクバーをそれぞれお二つですねかしこまりましたでは少々お待ちください」

店側には不幸な事にココまでが二人のいつものオヤクソクだった。

店員たちが心底メンドクサイと思っているのを彼らはまだ知らない。