【短編】阿呆と馬鹿の関係




そして、


「お前の事すんげぇ好きやから、心配すんな」


その言葉で顔から火が出る前に、唇が重なった。


優しく触れただけのキスは不器用なあたしにはピッタリで。

それに合わせてくれる柚木の優しさが、くすぐったかった。


のに!!!


「初めてのキスが、トイレとか笑えんなぁ~」


って、おい!


お前にはムードっちゅのがないのかっ!


「バカ柚木!」


そう言って鍵を開けて先に個室から出てしまった、あたし。


あーぁ。
せっかくキスまでしたのに、またバカって言っちゃったよ。


「なぁ、瀬名?」

「何!?」


バカって言っちゃった自分と、さっきまでのかっこいい柚木が消えた苛立ちに怒って振り返ると


「瀬名の“馬鹿”。俺は好きやで」


なーんて、サラッと言っちゃう柚木のバカ!


恥ずかしいじゃんかっ。


赤くなった顔を見て、指差して笑う。

両頬を押さえて下を向くしか出来ないあたし。


そんなあたしに、


「あー、そや。さっきの先輩にヤキモチ妬いたってやつな。
あれ、ワザとやから」


そう言ってトイレから出て行ってしまった。


はぁ!?
わざと?


あたしにヤキモチを妬いて欲しくて、途中からワザと付き合ってたのがわかるように言ってたんだって。


何それ。
まじで有り得ないんだけどっ!

そんな、わざとヤキモチを妬かせる必要もないくらいにあたしは柚木が好きだっちゅーの!



ほんっとーに柚木はバカなんだから(笑)




【END】