「柚木、ほい」


帰り道。


体半分先を歩く柚木が差し出す掌。

それを真っ赤な顔で握るあたし。


柚木がこんな事を恥ずかしくもなく出来る人だと思わなかった。


あたしが甘えたら

『キモッ』
『何のギャグや?』

とか言うタイプだと思ってたし。

それなのにさ、こんな風に出来ちゃうなんて……。


予想外もいいところ!


「なぁ、今度どっか行こか?」

「えっ?」


神経は握った手にだけに集中していて、話なんて聞いてなかった。


「……デート。したくない?」


柚木が膨れながら言うもんだから、焦っちゃって。


「デデデデ、デーット!?」


素っ頓狂な声をあげて、聞き直してしまった。