【短編】阿呆と馬鹿の関係




「い、いいよね。柚木はモテてっ」


ハッとしたあたしは、慌ててフォローした。


フォローになってるかなんてわかんないけど。

無理矢理作った笑顔で、顔をあげたんだ。


「お前……人の気持ちをそんな風に言うとか、最悪やな」


見た事もない真顔で、あたしを睨んだ柚木は、そう言い残すとあたしの隣を通り過ぎて行ってしまった。


バカだなぁ、柚木。


あたしが最悪だって事は、あたしが先に思ったよ。

言われなくてもわかってたよ。


こういうのを後悔っていうのかな。

それなら、あたしは今、凄く後悔してる。

戻せるものなら時間を戻しちゃいたいくらいだよ。

何で、あんな事言っちゃったんだろう。


何で……。


人の気持ちを、ってやっぱり石沢さんからの手紙はラブレターってやつだったんだね。

もしかしたら違うかも。
って、ほんの少しだけだけど思ってたあたしの期待はなくなって。

バカな事を言って、柚木を怒らせて。

良いとこナシじゃん、あたし。


最低最悪じゃん。