(でも……怖いよ……)



嬉しい話だとは限らない。



(どうする? 
出る? 出ない……?)



少し迷ったけど、結局
あたしは電話をとった。


……やっぱり、もうこれ
以上居留守を使ったり
なんてことはできない。



怖いけど――それ以上に、
見えないたぁくんの心が、
気になる。



「――もしもし」



『もしもしっ。よかった、
あんず――出てくれて……!』



聞こえてきたのは、言葉
どおり安堵が滲み出た
たぁくんの声だった。



「たぁくん……」



『ずっと電話出てくれない
から、もう話せないかと
思った……!』


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