女帝の椅子




家を出て母と親戚の家に向かった



ふと私はこんな事を言っていた



「……ねぇ、私は誰かを笑顔にするために生まれてきたのかな」



「どうしてそう思うの?」



「私が苦しめばあいつらもお父さんも笑っていたから」



しばらく沈黙が続いた



口を開いたのは母だった



「……砂羽、この世は弱肉強食なのよ。弱いものが苦しみ強いものが笑うの。でもそれは間違っていないの。それが現実なのよ」



「じゃあ私は笑えないの?」



母が立ち止った



そして私を強く抱きしめてこう言った



「私が砂羽を笑顔にしてみせるから。砂羽はなにも心配することなんてないのよ」



私の髪に母の涙が落ちた



「…絶対に……」