「…ねぇ、今直は天国から私をどう見ているのかしら」
帰り道急に聞かれた
「恨んでないのかしら」
「…それはないと思います」
気まずくて何をいったらいいのかわからない
「…あんな汚い布なんて捨ててしまえばよかったのよ」
「え?」
「あの時ね、急に強い風が吹いて私のハンカチが飛んでいったの。私がそれを追いかけたから、直は死んだの」
だいたい情景が浮かんでくる
「…後悔してるわ。私が直に告白しなければよかったのよ。学校に転校して出会わなければよかったのよ」
あの女帝が今は弱々しく見えた
「…清水は後悔してないと思う」

