「卒業生、退場」

長い卒業式も、もう終わり。

もう、ここに戻る事はない。

あまり高校生活を満喫する事は出来なかった。

・・・だけど。

それ以上に、あたしは大きなモノを手に入れられた。

普通の高校生なら、勉強して、部活して。

青春って感じの3年間なんだろうけど。

あたしは違う。

Rainbowとしてデビューして、隼斗に恋して。

虹色の3年間だったな。

苦しかった事もいっぱいあったけど、今となってはいい思い出だ。

そんな事を思いながら、体育館を後にした。





それからが大変だった。

毎年恒例、校庭でのプチお別れ会。

荷物を持ち、千咲と共に校舎を出た。

「たまには連絡してね~?」
「もちろん。あたし達親友だよ?」
「そうそう!」

そう言ってあたしと千咲に抱きついたのは菜々子だった。

「私も入れてよね」
「当たり前」

校庭に行く。

すると、

「満奈~っ!」
「満奈ちゃ~ん!」
「満奈先輩!」
「満奈様!」
「満奈お姉様ぁ~♡」
「桜井っ!」
「はっ、へっ!?あっ、ちょっ・・・えぇぇーっ!?」

同級生、後輩、そして先生方が。

・・・何故かあたしの方に向かってきました。

「じゃあ満奈。あとでメールする!」
「今度買い物行こうね!」

危険を察したのか、千咲と菜々子は左右へ消えていった。

あの・・・正直者め・・・!

「これからも応援してます!」
「好きです!」
「写メ撮って~」

あたしはその大群に捕まってしまった。

待って待って!

あたし、こんなに人気ないけど!?