(side満奈)

ゆっくり隼斗の頭を撫でる。

サラサラな黒髪が、指の間をくすぐる。

綺麗な髪だな~。

そんな髪の持ち主は、物凄く苦しそうだけど。

あたしの目の前には、顔を真っ赤にした隼斗。

うっすらと汗をかいてて、目は潤んでる。

病人にこう言う事言っちゃいけないんだろうけど・・・。

隼斗、可愛い。

って言うか、色っぽい?

キスしたい・・・。

「・・・っはぁ・・・」

苦しそうだな・・・。

・・・でも今の、なんか色っぽかったんですけど!

風邪で苦しんでる彼氏に“色っぽい”って思うなんて・・・。

あたしは変態か!?

「隼斗、薬飲もう?」
「あぁ・・・」
「あたし、取ってくるね」

あー、でも薬飲ませる前にご飯食べさせないと・・・。

そんな事考えながら、隼斗の頭から手を離した。

その時。

―――パシッ

腕を掴まれた。

あれ?

「隼斗・・・」

やっぱり・・・、

「行かないで・・・」

熱のせいで甘えん坊になってます。

か細い声であたしを引き止める隼斗。

そんな風に言われたら、あたし行けないよ~・・・。

「薬飲もう?ね?」
「うん・・・」
「だから行かせて?」
「ヤダ・・・」

矛盾してますよ?

あたし、どうしたらいいんでしょう!?