(side満奈)

“ホテルの1室、取ってあるから。今日は隼斗くんと一緒にそこに泊りなさい”

さっき、お母さんから電話が来た。

確かに今日は、外に出ない方がいいかも・・・。

ホテルの外には、たくさんのマスコミがいた。

「隼斗、行こっ」

隣にいる隼斗に、そう言った。

すると、

「待って」

腕を引かれ、抱き締められた。

「・・・その格好で行くのか?」

そう言われ、あたしは改めて自分の格好を見た。

淡いピンクのショートラインドレス。

・・・何か不満?

「これ、誰が選んだ?」

ハイ、不満そうですね。

顔を見なくても、声で分かります。

例え、何カ月も離れていたって。

「お母さんだけど?」
「ふ~ん。まぁ、俺があげた赤の方が似合ってるし」

ヤキモチですか?

可愛いっ♪

久しぶりの隼斗は、また少し大人な顔つきになったように見えた。

「なっ♪」

―――キュンッ

そう言って笑う隼斗は、最高にカッコいい。

ドキドキするよ。

「じゃあ行くか。はい」

突然差し出された左手。

これは・・・手を繋ぐって言うサインですね。

どうしよう・・・。

久々で少し緊張する。

そっと、あたしの右手をそれに乗せた。

―――ギュッ

そしたら、程よい強さで握り返された。

暖かい。

大好き。

手を繋いだままあたし達は、今日泊まる部屋へと向かった。