(side春風)

“陸斗に継がせる”なんて言ったけど。

本心は別にあった。

俺はRainbowのファンであり、よく彼女達の曲を聞いていた。

もちろん、満奈が引退した後も。

明るい楽曲、切ないバラード。

どれもこれもいい歌だ。

そんな時・・・ふと思った。

“やっぱり、満奈が歌っている姿が見たい”

アイドルの満奈は、凄く遠くに感じてしまう。

だけど・・・あのキラキラの笑顔で人々を魅了する満奈をまた見たい。

素直に、そう思った。

本当はこの気持ちをお前に話せたら良かったんだけどな。

柳さんの事、陸斗の事を言い訳に、言わなくてごめんな。

それと。

柳さんがあんなに汚い奴だとは知らずに、お前と婚約させようとした。

もっと早く気付いてれば良かった。

本当に、ごめん。

満奈の幸せを誰よりも強く願っているのに・・・。





満奈。

これからも応援してるからな。

Rainbowとして頑張れよ。

厳しい事も、辛い事もいっぱいあるだろうけど。

それを乗り越えた時、満奈は絶対いい顔を見せてくれるだろう。

期待してるよ。

・・・あと。

隼斗くんと・・・お幸せにな。

十分に分かってる。

満奈も隼斗くんも、互いに溺愛し合ってるって事。

もう満奈は、隼斗くんの嫁確定かな?

そう思うと・・・少し寂しい。

自分の事を鼻で笑った。

「春?」

隣にいた双葉が、不思議そうな顔を見せた。

頑張れ、満奈。

・・・仁菜の分まで、笑って泣いて。

生きていけ。