「二つ目は?」
「・・・二つ目は、お前の子供に将来、Cherry Iを継がせる事」

・・・。

へ?

“お前の子供”って・・・あたしの子供!?

子供っ!?

「だだだだっ、誰との子供ぉ!?」

ハイ、あたし、パニック状態です。

いや、確かに子供欲しいけどさっ!

誰との子供ですか!?

・・・冷静になれ、桜井満奈。

“誰との”って・・・。

あたしはやっぱり、“彼”との子供が欲しいなぁ・・・。

「ふっ、それは言わんで置く。自分で見つけるんだな」

ニヤッと、まるで子供のように笑ったお父さん。

その顔はなんだか癪に障る。

知ってるんだな、あの顔は・・・。

なーんかムカつく。

「双葉、行くぞ。じゃあな、満奈」

手をひらひらと降って、お父さんは控室から出て行ってしまった。

「ふふっ。期待してるわよ、は・つ・ま・ご♡」

意味不明なメッセージを残し、お母さんもお父さんの後に続いた。

―――バタンッ

ドアが閉まった。

嵐が去ったような静けさが広がる。

はははっ・・・。

うちの両親ってホント、気まぐれ。

でも、そんな2人があたしは大好きなんだ。

・・・それにしても。

あたしはもう、“Cherry Iの次期社長”ではない。

“柳雅也の婚約者”でもない。

あたしはアイドル。

あたしはRainbowに帰れるんだ。

そう思うと、やっぱり嬉しい。

自然に笑みと涙が零れた。