「はっ、はい!」

最近業績が上がって来た柳グループとはいえ、Cherry Iと比べたら足元にも及ばないらしく。

お父さんが雅也のお父様を呼ぶと、少し緊張気味に返事した。

そして、

「私からも、婚約破棄を願います」

深々と、彼に頭を下げた。

「えっ!?」
「どうしてですか、桜井社長!」

その言葉に、雅也も雅也のお父様も驚いた。

もちろん・・・あたしも。

「理由はありますよ」

お母さんが言った。

雅也のお父様はオロオロしている。

こんな人がよく柳グループ仕切れるなー・・・。

―――ツカツカツカ・・・

お父さんが、あたしと雅也の元へ近づいてくる。

―――グイッ

「あっ!?」
「私の娘、返してもらおうか」

そう言ってあたしを、雅也の腕から解放してくれた。

くっ、苦しかったぁ・・・。

と、思ったら。

お父さんは、ニヤリと笑って、





「殺人犯に、大事な娘を預けられるわけないでしょう?」





そう、言った・・・。

「「「「えっ・・・?」」」」

雅也も。

雅也のお父様も。

隼斗も。

あたしも。

驚きを隠せなかった。

お父さん、知ってたの・・・?