2人を裏切るって事は分かってる。

雅也を裏切るって事も分かってる。

・・・だけどね。

あたし、愛したい、愛されたい。

ずっとずっと、この人の隣で笑っていたいの。

俺様で。

エロくて。

意地悪で。

でも、誰よりも優しくて。

そんな隼斗が、あたしは好きなんだ。

「はや―――」

彼の名を呼んだ。

その時だった。

―――ガチャッ

何の前触れもなく、控室のドアが開いた。

そして入って来たのは、





「満奈。・・・って、何でお前が・・・?」

―――柳雅也、だった。





「何で流川隼斗がここに?」
「満奈を奪いに来た」

きょとんとした顔を見せた雅也。

かと思ったら、

「へぇ~、面白いね。俺と満奈はこれから婚約を発表するんですけど?」

雅也は笑顔で、余裕そうに言った。

それ・・・断らなきゃ。

あたしはもう、雅也と婚約しない。

それで―――。

「ごめんなさい、雅也」
「何が?」
「婚約破棄、します」

隼斗とずっと一緒にいる。

もう絶対に、隼斗を諦めたりしない。