あんな振り方したのに・・・。
まだあたしなんかの事、好きでいてくれてたなんて。
嬉し過ぎるよ・・・。
「だから・・・さ。俺とまた付き合って?」
その言葉に、目を見開いた。
それって・・・それって。
また隼斗と“カレカノ”でいられるって事?
そりゃ、そうなったら・・・嬉しいよ。
隼斗の心音が聞こえる・・・。
やっぱりここが1番落ち着く場所。
・・・でも。
「―――ごめん」
あたしはそう言ってた。
あたしの言葉にびっくりしたのか、隼斗はあたしの顔を見た。
胸板を押し、隼斗の腕の中から出た。
―――辛い。
ホントは、ずっとそこにいたい。
でも・・・隼斗を見る度、胸が苦しくなる。
だって、あたしは―――、
「あたしは、会社を継がなきゃいけないから」
隼斗より、お父さんとお母さんを選んだから。
好きなのに。
こんなに近くにいるのに。
―――遠い。
「あたしは家族のために芸能界辞めて、隼斗と別れたんだよ。隼斗はあたしがどれだけ悩んだか知ってるの?」
そう言い放った。
隼斗を傷つけたいんじゃない。
ただ・・・今までの我慢が、一気に噴火してしまったんだ。

