(side春風)

それは、娘の婚約発表会を明後日に控えた今日。

衝撃的な事実を、知ってしまった―――。

俺は・・・父親失格だ。

そんな奴に、娘を預けようとしたんだから―――。





―――コンコン

Cherry I社長室。

そこのドアがノックされた。

「どうぞ」

―――ガチャッ

そう促すと、ドアが開いた。

「社長、藤真探偵事務所の藤真様がお見えになりました」
「あぁ、通せ」

若い女の秘書の声に返事をすると、1人の男の人が部屋に入って来た。

彼は藤真柊斗さん。

30歳という若さながら、俺が信頼する探偵事務所の社長だ。

「失礼します」
「お待ちしてました、藤真さん」

彼を椅子に座らせ、自分も向かいに座った。

深刻な表情の藤真さん。

「どうでした・・・か?」

俺がそう聞くと、

「全て分かりましたよ」

藤真さんは無表情でそう言った。

背筋が震えた。

「いろいろと調査をした結果」

ゴクリと唾を飲んだ。

いよいよ・・・。

分かってしまうのか・・・。





「仁菜さんを殺した犯人が、特定できました」





真っ直ぐに俺を見た藤真さん。

1つの冊子を、俺に差し出した。