その日の夜。

22時を少し過ぎた頃だった。

―――ガチャッ

寮に帰ってきた俺。

ドアを開けると、

「せーんぱぁーい♡」

華園が俺に抱きつこうと走って来た。

それをかわす。

見事なほどに宙を掻いた華園の腕。

「ちょっ、ちょっとぉ~」

1人で勝手に怒りだす華園を置いて、俺は部屋に入った。





はぁ・・・。

心の中でため息をついた。

何で・・・俺に付き纏って来るのが華園なんだろう?

アイツだったら・・・。

満奈だったら・・・。

喜んで受け入れてるのに・・・。

満奈に会いてぇな・・・。

・・・だけど。

満奈の事を想う度、

“満奈ちゃんは自分で決めたんだ。それを邪魔する権利がお前にあるのか?”

兄貴の言葉も、一緒に思い出す。

会いたいのに。

話したいのに。

それすらも、許されない。

この想い・・・。

どうすればいいんだよっ・・・!

ケータイを開いた。

カメラのフォルダを開いた。

そこにあったのは・・・大量の満奈の写メ。

この前見つけたんだ。