(side満奈)

いつもと同じ生活。

いつもと変わらない日常。

ずっと変わらないと思ってた。

彼が、あんな事を言うまでは―――。





「おはよっ、満奈♪」

朝。

彼の声で目を覚ます。

「おはよう、雅也」

あたしは笑顔を作り、雅也に向けた。

同じベットに入っているあたし達。

・・・別に好きでこんな事してるわけじゃない。

あの日みたいに抱かれるよりは全然マシだと思っただけ。

“満奈、一緒に住もう”

抱かれたあの日。

雅也にそう言われた。

口調は優しかったけど・・・目は嫉妬の色に染まってた。

怖くて、“嫌だ”なんて言えなくて。

“・・・はい”

あたしはそう返事した。

そして・・・今。

あたしと雅也の両親がお金を出し合って買ってくれた家に、2人で住んでいる。

あと・・・もう1つ変わった事。

呼び方を“柳さん”から“雅也”に変えた。

これ以上、彼の機嫌を損ねないように。

抱かれないように。

好きなんかじゃない。

家族のために、会社のために、貴方と婚約するだけであって。

好きになるつもりもない。

愛するつもりもない。

「満奈・・・好きだよ」

想いに答えるつもりもない。

結婚なんか・・・。

“満奈っ”

思い出す、彼の声。





隼斗以外と、したくないよ・・・。