「大丈夫ですかぁ?」

コイツ・・・ホントに見舞いに来たのか?

「心配したんですよっ」

・・・そうは見えねぇけど。

華園の間延びした口調を聞く度、イライラしてくる。

「私、1人じゃ寂しいんですよぉ~。先輩、いつ退院するんですかぁ?」

知らねぇよ、んな事。

それより・・・俺は満奈に会いたくて仕方ない。

何故だ?

この前初めて会ったばかりなのに。

・・・初めて会ったような気がしなくて。

いろんな事聞いて、知ったのに。

・・・その答えは、元から知っていたような気がして。

満奈って名前を初めて聞いたのに。

・・・前から知っていたような。

そんな微妙な思いに揺れている俺。

やっぱり、忘れたのは“満奈”の事なんだよな?

満奈と俺の関係って何だ?

思えば思うほど、気になっていく。

まさか、俺・・・。

「先輩ってばぁっ!」

華園のその言葉で我に帰った。

俺、満奈の事・・・ずっと考えてた。

何でかは分からないけど・・・満奈の事が気になって仕方ないんだ。

「何?」

冷たく言い放った。

だけど、コイツには全然効かず、

―――ギュッ

逆に抱き着いて来た。

ウザいんだけど・・・。

「離れろ」
「嫌ですっ。・・・ねぇ、先輩」
「んだよ」

上目遣いで俺を見る華園。

可愛くないし、何とも思わないけど。

「私と付き合ってくださいっ♡」
「無理」

俺は即答した。