その後、病室に来た母さんに聞いた。

“なぁ、あの子は誰?俺とどういう関係?”

その言葉に母さんは・・・驚きを隠せなかったようで、

“満奈ちゃんじゃない・・・。隼斗、あんなに溺愛してたくせに覚えてないの?”

だーかーらー・・・。

“満奈ちゃん”言われても知らないっつーの!

でも・・・それよりも気になったのは、

“あんなに溺愛してたくせに”

この言葉だった。

俺が?

“満奈”を?

溺愛してた?

・・・どういう事だ?

俺、まともに女と付き合った事ないけど。

ましてや“人を愛する”なんて、どうでもいいし。

“知らねぇよ。人違いじゃねぇの?”

そう言った俺。

母さんは医者を呼んだ。

そして―――、





“一時的な記憶障害でしょう”





母さんと医者が話していたのを、俺は偶然聞いてしまった。

記憶・・・障害?

俺が?

信じられなかった。

俺が何を・・・忘れているんだ?

その時に・・・ハッとした。

まさか、俺が忘れているのは。

失くした記憶は。





“満奈”の事なんじゃねぇか?