Love♡LDK

(side千歳)

彼女は笑って言った。

泣きながらも・・・笑って、こう言ったの。

“隼斗はあたしの事、忘れたんですよ”って―――。





嘘よね?

私や翔也の事は分かるのに・・・満奈ちゃんの事だけが分からないなんて。

だって、あんなにも溺愛してた女の子よ?

そんな子の記憶を失くした・・・なんて。

すぐに医者を呼んだ。

「一時的な記憶障害でしょう」

すると、冷静にそう言われた。

「いつ戻るかは分かりません」

ただそれだけだった。

無性に悔しかった。

夜道で襲われた事も、満奈ちゃんの記憶を無くした事も・・・。

例えば、全て犯人の計画通りなら・・・。

悔しくて仕方ない。

「お前が何の仕事をしてたか分かるか?」
「アイドル・・・」
「グループの名前は?」
「SuperStar」
「メンバーの名前は?」
「准と愛地と・・・蛍と太陽」

家族の事、アイドルの事。

それは全部覚えていた。

だから・・・、逆にはっきりした。





隼斗は、満奈ちゃんの事だけが分からない。





翔也と隼斗の様子を彼女は、遠く離れた椅子に座って見ていた。

まるで、人形のように。

感情のない瞳で―――。