あたしは椅子から立ちがった。
「隼斗・・・」
彼の名を呼んだ。
「隼斗、隼斗、隼斗、はや・・・と。は・・・や・・・と・・・」
何度も何度も呼んだ。
返事はなかった。
貴方は今、誰を想ってるの?
知りたい。
知るのが怖いから、知りたくない。
矛盾する思い。
顔をグッと近づけた。
「あたしね、諦めの悪い女みたい」
そう言って笑った。
そして―――、
―――チュッ
隼斗にキスをした。
額でも、頬でもなく・・・唇に。
あたしってホントに我が儘。
別れの時も・・・今もそう。
自分勝手にキスした。
自分の気持ちだけのために・・・。
ごめんね?
こんな我が儘なあたしで・・・。
“元カノ”が勝手にキスしてごめんね?
でも・・・どうしても。
あたしは、貴方が好きなんです―――。
隼斗の手を握った。
その時、
―――ピクッ
少しだけ、隼斗の手が動いたような気がした―――。