それから1時間後。

あたしは翔也さんの車に乗り、病院に着いた。

「凄いマスコミ・・・」

病院の前には、たくさんの報道陣がいた。

「裏から回ろう」

翔也さんはそう言って、誰もいない病院の裏口に車を止めてくれた。

「すみません、ありがとうございます」

すぐに車から降り、あたしは報道陣にバレないように病室に急いだ。





―――ドクンッ

―――ドキンッ

緊張と不安が交錯する。

さっきの電話で美鈴から、病室を教えてもらった。

“隼斗は・・・ICUにいるわ”

ICUにいるって事は・・・相当危険な状態って事。

「ここだ・・・」

息を整え、ドアを見つめる。

この向こう側に・・・隼斗がいるんだ。

その時だった。

「満奈ちゃん、か・・・?」

後ろから、あたしを呼ぶ声が聞こえた。

振り向くとそこには、

「久しぶりだね。・・・見ないうちに綺麗になったな、満奈ちゃん」

隼斗のお父様がいた。

「お久しぶりです」

ペコッと頭を下げた。

隼斗のお父様は、疲れた表情をしていた。

この顔・・・。

あたし知ってる。

仁菜が・・・昏睡状態の時。

お父さんが、あたしに見せた表情と全く同じだ―――。

「隼斗に・・・会ってやってくれ」
「・・・はい」

そしてお父様が、ICUのドアをノックした。

―――ガラッ

「入って」

そう促され、あたしは室内に入った。