そんなあたしの心情も知らず。
彼はあたしをベットに座らせた。
「柳さ・・・」
“柳さん”。
そう言いかけたあたしの唇に、彼の人差し指が触れた。
「2人きりの時は“雅也”、でしょ」
そう言われて思い出す。
あぁ・・・。
そういえばあたし、そんな約束したっけ。
「俺も2人きりの時は“満奈”って呼ぶから」
そんな時。
彼の右手が、あたしの左頬に触れた。
「俺・・・満奈の事、好きだ」
―――ドキッ
突然の告白。
あまりにも、真剣な瞳で見つめられて・・・。
あたしは一瞬、戸惑った。
少しずつ、彼の顔が近づいてくる・・・。
キス、される・・・!
「・・・やぁっ!」
気がつけばあたしは、柳さんの胸板を押していた。
近かった顔と顔の距離も、一瞬にして遠くなる。
ヤダ・・・。
ヤダよ。
好きな人以外と、キスなんかしたくない。
“満奈”なんて、軽々しく呼び捨てしないで。
“好きだ”なんて言わないで。
“満奈っ!”
“愛してる”
―――隼斗。
全ては、貴方だけに許されるの。
「ごめんなさい・・・」
柳さんの事を思って、謝った。
隼斗の事を想って、泣いた。

