パーティーが終わった。
挨拶するよう言われていた人には、きちんと挨拶した。
ただ・・・ちょっと気になったのは。
男の人の目線と。
女の人の鋭い視線と。
―――柳さんの、あたしの肩に置いてある手。
あたしが男の人と話す度・・・彼のあたしの肩を抱く力が強くなっていた。
はっきり言って、痛い・・・。
控えめに肩を擦りながら、パーティー会場を出た。
「じゃああたし、これで失礼します」
そう言って、隣にいた柳さんに頭を下げた。
すると、
「何言ってんの?」
なんて、意味不明な応答が返って来た。
そして、
「今日は、ここに泊るんだよ?」
爆弾発言を、あたしにかました。
「・・・はい?」
訳も分からず、彼に連れていかれた場所は。
パーティーが開かれたホテルの最上階。
スイートルームだった。
「あの・・・どうして?」
「満奈ちゃんのお父様がね、“今日は2人でじっくり愛を深めてこい”ってさ」
・・・はぁっ?
ごめんなさい、お父さん。
意 味 不 明 で す 。
“じっくり愛を深めてこい”って・・・どういう事?
第一、柳さんは元仁菜の婚約者。
そんなすぐに、あたしに愛なんか芽生えるはずないじゃない。
それに・・・。
あたし、柳さんと愛を深めるつもりはない。
だってあたし、決めたんだから。
一生、隼斗だけを愛するって。
例え、叶わぬ恋だとしても。
叶わぬ愛だとしても。

