パーティー会場に、柳さんと並んで入る。
「うわぁ・・・」
あたしは小さく、感嘆の声を上げた。
広い会場。
いくつもある、大きなシャンデリア。
たくさんの人。
凄いな・・・。
キョロキョロしながらゆっくりと歩いた。
しばらくすると、
「柳様」
スーツを着た20代前半くらいの人が、彼に話しかけた。
「私、大友財閥の大友雪都と申します」
そう言って、名刺を刺しだした。
大友財閥って、確かホテル業で有名だよね。
それで、桜井財閥とも契約しているらしい。
“いいか。この人達には挨拶しておくんだぞ”
パーティーの前日。
お父さんに言われた事と、見せられた写真を思い出した。
確か、この人も・・・いた。
「あの」
あたしは、大友さんに話しかけた。
「はい?・・・あっ」
柳さんからあたしに視線を向けた大友さん。
すると、彼の顔は真っ赤に染まった。
「本物の桜井満奈だ・・・。ヤベー・・・」
右手の甲を口にあてている。
“本物の”って事は・・・大友さんもRainbowファンなのかな?
―――ズキッ
胸が痛くなった。
苦しいよ・・・。
今は、“Cherry Iの社長令嬢”としてここにいるのに。
昔のあたしを、思い出させないで―――。

