2人は同じ高校だとも知った時、凄く悔しかった。

桜井満奈に嫉妬した。

ブスの癖にっ・・・。

私の方が何百倍も可愛いのに・・・。

“奪ってやる”。

私はそう決め込んで、テレビを消した。

彼とは1度も話した事はない。

だって、“アイドル”と“ファン”の関係だもの。

でも・・・アイツから奪える自信はある。

それからは、また必死に勉強した。

全ては、流川隼斗の“心”を自分のモノにするため。

全ては、桜井満奈から彼を奪うため。

高校に合格した時は、凄く嬉しかった。

これで私も、流川隼斗の傍に入れるんだって・・・。

嬉しかった。

舞い上がってた。

だけど、もう1つ悔しかった事があった。

流川隼斗と桜井満奈が、寮の同室だって事―――。

2人は605号室。

私は、宮城真裕と言うモデル兼女優の子と一緒の107号室。

離れてるし・・・。

おまけに、多忙の彼は学校に来るのは稀。

ほとんど会えなかった。

確か、初めて会ったのは5月頃。

廊下ですれ違ったんだ。

“あのっ・・・”

勇気を出して、初めて話しかけた時。

“どうしたの?”

笑いかけてくれた流川先輩。

あの時の喜びは、今でも胸に残ってる。





今の私は、凄く幸せ。

だって・・・彼の1番近くにいるんだもん。

桜井満奈じゃなくて、私がね。

6月下旬頃。

桜井満奈が突然、芸能界を引退した。

それに加えて、Rainbowは活動停止。

さらに―――。





流川先輩と桜井満奈が、破局した。





これは、神様がくれたチャンス!

そう思った私は、すぐさま流川先輩に近づいた。