撮影が終わり、マネの車で寮に帰った。

605号室の部屋のドアを開ける。

部屋の中はガランとしていた。

花園は、いないのか・・・?

それを知り、ホッとした。

アイツがいるとゆっくり出来ねぇし・・・。

やたらくっついてくるし・・・。

安心して寝る事すら出来ねぇ。

いや、満奈の事考え過ぎて毎晩寝れてないんだけどな。

―――ガチャッ

脱衣所のドアを開けた。

ここも香水臭い・・・。

満奈のシャンプーのいい香りじゃない。

花園の匂いだ。

このまま・・・“俺”と“満奈”は消えていくのか?

もう一生、離れ離れなのか?

んなの・・・耐えられねぇ。

満奈以外に愛せる女なんかいない。

俺・・・前より満奈の事、好きになってる。

距離はあるけど、想いは大きくなってる。





頼むからさ・・・。

もう満奈以外、何もいらねぇから。

お前だけを愛してるから。

俺の中の“満奈”って言う存在は、すげぇ大きいんだ。

脳内の100パーセントは満奈が占めてる。

あまりにも好きすぎて。

アイツを壊して、誰にも見せないようにしてしまいたい。

満奈を愛して、満奈に愛されたい。

だから・・・帰って来て欲しい。

俺の元に・・・。





でも、それは―――。

永遠に叶わない夢。

俺は声を殺し、泣いた。

現実はあまりにも厳し過ぎる・・・。