―――キーンコーンカーンコーン

授業の終わりを知らせるチャイムが鳴った。

「じゃあ今日はここまで」

そう言って、英語の先生は教室から消えた。

今日はこれで放課かぁ。

この後何しようかな?

そう思いながら、机の上の教科書を片づけた。

その時、

「ねぇ、満奈ちゃん!」
「よかったらこの後、お茶でもしに行かない?」
「合コンはどう?」
「俺とデートしてください!」

たくさんの男子が、あたしの周りに群がった。

はぁ・・・。

毎日疲れる・・・。

あたしが朝比奈学園に転校してきてから毎日これ。

男子が一斉に寄って来るんだよねぇ。

芸能人ってそんなに珍しい?

あたしが元芸能人だから誘ってるんだよね?

あたし、可愛くないしね。

「今日は無理なんだ。ごめんね?」

両手を合わせて謝った。

“今日は”って言うか・・・毎日無理。

あたしがそう言ったら、男子達はがっくりと肩を落としてどこかに消えていった。

そしたら、それと入れ替わるように、

「さっすが満奈。人気者だね」

1人の女の子が、あたしの元に寄って来た。

「人気者じゃないよ」

彼女は橘麻友。

朝比奈学園で1番仲のいい子。

あたしを“元Rainbowの桜井満奈”ではなく。

“桜井満奈”としてみてくれる唯一の人なんだ。

「麻友の方が人気なんじゃないの?」
「まさか~っ!」

ケラケラと麻友は笑った。

彼女といる時は、ホントに楽しい。

ずっと笑っていられるんだ。