(side満奈)

―――ミーンミーン

セミの鳴き声が聞こえる。

隼斗、会いたいよ・・・。

窓の外を眺めながら、あたしはそんな事を考えてた。





朝比奈学園に転校して、1か月が経った8月上旬。

今は夏休みの真っ最中。

・・・なんだけど。

黒板に目を戻す。

あたしは学校に来て、補習を受けている。

この学校、レベル高いんだよね。

まぁ、この先大学で経済学を学ぶにはちょうどいいんだろうけど。

「えー、ここを井川!訳してみろ」
「はい」

井川と呼ばれた子は、立ち上がって英文を訳している。

それを聞き流しながら、あたしはまた窓の外に目をやった。

最近、ボーっとしてる事が多いあたし。

・・・原因なんて分かってる。





“隼斗に会いたい”





常にそう思ってるから。

別れてからもう、1か月以上経ったのかぁ・・・。

元気にしてるかな?

"Love You"、気づいてくれたかな?

もしかしたらもう、あたしの事なんて忘れてるかもね。

んで、あたしなんかより100万倍可愛い子と付き合ってたりして。

・・・その方が、隼斗にとっては幸せだよね。

あたしにとっては辛いけど。

まだ・・・好きなんだよ?

愛してるんだよ?

伝えたいのに、伝えられない。

彼との距離が、遠い―――。