俺には満奈しかいない。

今でもそう思ってる。

だけど―――。

彼女はもう、俺の隣にはいない。

好きだ。

好きだ。

好きだ。

何回言っても足りねぇ。

満奈は、自分で選んだ道を歩んでる。

なのに俺は。

―――あの日から立ち止まったまま。

「好きなんだよっ・・・!」

満奈が俺以外の男と婚約なんて・・・。

考えたくもない。

「ちっきしょ・・・!」

アイツは自分で決めたのに。

俺、応援してやれねぇよ。

笑えねぇよ。

脳裏に焼き付いて離れない、満奈の笑顔。

忘れられない。

俺には、満奈しかいねぇんだよ・・・。

大事な女1人、守ってやる事すら出来なくなった俺。

満奈は桜井財閥を取った。

許婚と結婚するために、俺と別れた。

会社を継ぐために、芸能界を引退した。

アイツは確実に、新しい未来を切り開こうとしている。

俺を置いて―――。

「忘れられっかよ・・・」

満奈だけは手放したくなかった。

満奈だけを愛して愛されたかった。

だけどそれはもう、永遠に叶わない・・・。





「満奈っ・・・」

声を殺して泣いた。

支えてくれる人がいないのが、辛かった。