“出てけ”

口が酸っぱくなるほど言ったのに。

・・・言ったはずなのに。

―――ガチャッ

リビングのドアを開けた。

「流川先輩、おはようございまぁす♡」

何故かここに住みついている華園。

朝っぱらからコイツの顔を見ると、気分悪い。

いつの間にか7月の中旬になっていた。

暑くて、寝る時にはクーラーをつけている。

“あっつい・・・”
“何言ってんだ。これからが熱い夜ですけど”
“変態エロ隼斗”

なんて会話、満奈とよくしてたな・・・。

思い出すと顔がニヤける。

でも、顔を上げると。

「先輩、寝癖ついてる!可愛い~」

一気に現実に引き戻された。

俺の髪に触れようとした花園の手を、

―――バシッ

俺は振り払った。

「触んな」

満奈以外の女に触れられたくない。

俺は立ち上がった。

そして、リビングから立ち去る。

「えっ・・・。先輩?」

花園の声が聞こえて来たけど、無視無視。

―――ガチャッ

自分の部屋に入る。

ドアにもたれかかり、ずるずると床に座り込んだ。