わけわかんねぇ。

何で花園が俺の部屋にいたんだ?

「お前、何でここにいんの?」
「何でって・・・桜井先輩と別れたんでしょ?だから私と付き合ってもらおうと思って」
「却下」

抱きついてくる花園を突き放す。

「ってか、いつもと話し方違いますね?」

それでもコイツはくっついてくる。

胸をギュギュッと押しつけて。

正直、ウザい。

「離れてくんない?」
「嫌です」

頬膨らましても、ちっとも可愛くねぇ。

逆にもっとウザく思える。

「私と付き合ってください」
「無理」

満奈以外の女と付き合うなんて有り得ない。

もう満奈以外、“女”として見れないし。

第一、俺はまだ満奈を愛してる。

「こっから出てけ」
「嫌です。もう荷物運んじゃいましたし」
「はぁっ!?」
「私、今日からこの部屋に住みますから♪」

この女っ・・・!

「ほらっ、もう出来上がってるんですよ」

俺の腕を引っ張り、とある部屋まで連れて行く華園。

そこは、

―――満奈の部屋、だった・・・。

あんなに満奈の匂いでいっぱいだったのに。

その欠片はひとつもなく。

ただ、香水の匂いが。

俺の脳に焼きついた。

俺と満奈の思い出が・・・。

消されて、行く・・・。

「出ていけ」
「えぇ~っ!何でですか?」

そんなの、決まってる。





「俺は桜井満奈が好きだから」





605号室は、俺と満奈の部屋だ。