「あの、あたしはもう芸能人でもRainbowでもないんです」
そう言うと、柳さんは驚いたような顔を見せた。
「ごめん・・・」
その時。
店員さんが席に寄って来た。
気を取り直し、それぞれ料理を注文する。
「では、ごゆっくりどうぞ」
店員さんが去った後、
「満奈ちゃんは、18歳だよね」
彼がまた話し出した。
まるで、何事もなかったように。
「はい」
「俺は2つ年上」
そうなんだ。
別に興味ないけど。
・・・あたしは決めたんだ。
彼とは、“外見だけの夫婦”でやっていくんだって。
キスもエッチもしないの。
だから、子供もつくらない。
だってあたしは、お父さんとお母さんのために会社を継ぐ決意をしたんだもん。
柳さんには興味ないの。
あたしの心は、まだ―――。
隼斗にあるから。
ごめんね、隼斗。
あたしから振ったくせに、“一緒にいたい”って思うなんて。
最低だよね。
我が儘だよね。
自分勝手だよね。
自分で自分を嘲笑った。
それからも柳さんは、あたしにいろいろ質問してきた。
趣味や特技。
好きな事。
それだけなら、まだ良かった。
なのに―――。
「流川隼斗くんの事は、今でも想ってるの?」
それを聞かれ、あたしは黙り込んでしまった。

