“別れよう”

その言葉が、何度も脳内を駆け巡る。

俺・・・おかしくなったか?

一瞬、その言葉の意味が理解できなかった。

嘘・・・だろ?

冗談だよな?

「な・・・ん、で?」

途切れ途切れの言葉に、どれだけ自分が動揺しているかがよく分かった。

何でだよ!?

俺ら・・・愛しあってたんじゃなかったのか?

俺は満奈の事、大好きなんだぜ?

今だって・・・全身が“満奈を抱き締めたい”って叫んでる。

ずっと満奈も同じ気持ちだと思ってた。

俺の事、好きだって・・・。

しかし。

「他に・・・好きな人が出来たんだ・・・」

抑揚のない声。

頭に石が落ちて来たような感覚。

満奈の思い。

他に好きな人が・・・出来た?

俺以外に好きな奴がいるって事かよ・・・。

“別れよう”

だから・・・俺と別れたがってるんだ。

俺はお前が大好きで仕方ないのに・・・。

満奈はずっと、他の奴を見ていたんだな。

「そうか・・・」

離したくねぇ。

誰にも渡したくない。

初めて心から愛した女。

手放したくない。

だけど―――。





「分かった・・・」





俺には、それしか言えなかった・・・。