「俺はお前に会社を継いでほしい」
「でもあたしはっ!あたしはアイドルをやりたいの!」
何でよ!?
長年、桜井家が財閥だって事を隠し続けてきたくせに。
今更あたしに継げって言うの!?
「じゃあ何で今まであたしにこの事を隠して来たのよ!?」
ムカつくよっ・・・!
怒りがそのまま、言葉となった。
「全部、あたしの夢を応援するためじゃなかったの!?」
涙が溢れてくる。
あたしが怒りをぶつけても、お父さんは動じなかった。
「そうだよ。満奈の夢を応援するために俺と双葉はこの事を黙っていたんだ」
淡々と、あたしの言葉に返事をする。
「じゃあどうしてっ!」
「仁菜が死んでしまったからだよ・・・」
お父さんのその言葉に、突如何も言えなくなった。
「頼む、満奈・・・」
大好きなアイドル、仕事。
今まで積み上げて来た経験。
辛かった思い出、楽しかった思い出。
そして、大事なRainbowのメンバー。
“芸能界”
お父さんもお母さんも、もちろん大好き。
今まで、あの大きな手であたしを育ててくれた。
暖かくて優しくて、あたしがいつでも帰れる場所。
この人達はいつまでも、あたしの親。
“会社”
2つの単語の間で、揺れ動くあたし。
どうすればいいの!?
「待て、満奈」
悩みに悩んでるあたしに、お父さんが話しかけて来た。
「もう1つ、重要な事があるんだ」
―――ドクンッ
心臓が高鳴った。
嫌な予感がした。
「会社を継ぐのなら、隼斗くんとは別れてもらう」
嫌な予感、的中。
あたしの人生って波乱万丈だね。
頭、おかしくなったかな?
隼斗と・・・別れる?

