「何であたしが!?」
びっくりして、思わず聞き返した。
「何でって、仁菜が逝ってしまったから。継ぐ者がいなくなってしまったんだよ・・・」
あぁ・・・。
そう言う事か。
「でもあたし、経済学とか知らないけど」
「それに関しては、お前を転校させるつもりだ」
「転校!?」
「朝比奈学園にな」
朝比奈学園、かぁ。
あそこ、お金持ちの学校として有名だよね。
でも・・・。
もし仮に、あたしがCherry Iを継いだとして。
「アイドルは?」
アイドル。
あたしが長年追い続けて来た夢。
一昨年、やっとかなった夢。
それは絶対に、捨てる事なんか出来ないよ―――。
でも、お父さんは。
「―――諦めてくれるか?」
いとも簡単に、そう言った。
一瞬、その言葉を理解できなかった。
“諦めてくれるか?”
それって・・・。
「芸能界を・・・引退しろって事?」
嘘でしょ?
この仕事が、Rainbowが、ファンのみんなが。
楽しくて仕方ない。
大好きで仕方ないの。
なのに・・・!
「嫌だよ!」
辞めるなんて・・・嫌だよ・・・。
お父さんは、無言だった。

