ゆっくりと、口を開いたお父さん。
出てきた言葉は、意外な事だった。
「満奈は将来、隼斗くんと結婚するのか?」
「はっ!?」
何故に?
何故いきなりそんな事を?
不思議に思ったと同時に、少し恥ずかしかった。
だって、親に彼氏の事話すなんて・・・。
恥ずかしいじゃん。
照れちゃうじゃん。
・・・そりゃあ、したいよ。
隼斗と結婚したい。
隼斗の奥さんになりたい。
あたしの旦那さんになってほしい。
小指に付けてあるピンキーリングを眺めながら、そう思った。
「・・・うん」
ゆっくり頷いた。
「そう、か・・・」
するとお父さんは額に手をあて、何かを考え始めた。
「なっ・・・何?」
お父さんの意図が分からない。
何をあたしに言いたいの?
隼斗と結婚しちゃダメなの?
どこがダメなんだろう・・・?
あたしも頬に手をあて、考えてみた。
嫌われる要素・・・あったっけ?
しいて挙げれば・・・あの二重人格かな。
なんて、変な事を考えていた。
しかし。
「―――満奈」
「ん?」
“お父さんの意図”はそこではなかった。
彼はあたしに衝撃的な発言をした―――。
「Cherry Iを、継いでくれないか?」
継ぐ?
Cherry I・・・桜井財閥を?
・・・あたしがっ!?

