そして、献花をする。
あたしは仁菜の前に立った。
「仁菜・・・」
妹の表情は、あの時と同じ。
穏やかな表情をしていた。
化粧を施された仁菜はとても綺麗で・・・。
―――ホントに、死んだの?
そう疑ってしまうほどだった。
「大好きだよ」
その言葉は、涙でほとんど言えなかった。
そっと、花を添えた。
あたしの、大事な妹―――。
一緒にいたずらした事も。
SuperStarの話題で盛り上がった事も。
笑い合ってたあの頃も。
全部全部、忘れないから―――。
気がつけば、周りには誰もいなかった。
みんな、外に出たみたい。
お父さんとお母さんは多分、その方達の見送りをしているんだと思う。
あたし1人だけが、葬式を行われた場所にいた。
仁菜の遺影を見つめる。
満面の笑みで、ピースしてる写真だった。
何の写真なんだろう・・・?
中学の制服を着ていた。
仁菜の中学生活については、あたしは何も知らない。
もっともっと・・・いろんな話をしたかったよ。
誕生日プレゼントも、あげたかったよ・・・。
「仁菜っ・・・」
今思い出すのは、数えきれないくらいの思い出と後悔。
「これが・・・あたしからの、プレゼントだよ」
持ってきておいた、大きな箱を開けた。
そこに入っていたのは、あたしが15歳の誕生日に買ってもらったギター。
「聞いてください。"6/17"」