(side満奈)

「・・・その後、双葉がお前に電話をかけたんだ」

残酷な内容だった。

金属バットで頭部を殴られた・・・。

一体誰が?

何のために?

スポーツで使うものを、どうして・・・。

「でも仁菜は・・・夜遅くに外にいたの?」
「16時頃電話がかかって来て、“友達ん家で遊んでくるね”って言ってた。多分その帰りに・・・」

そこまで言うと、お父さんは悔しそうに俯いた。

「今日は誕生日なのに・・・」

今日は6月17日。

紛れもなく、仁菜の誕生日。

15回目の誕生日なんだ。

「お父さん・・・」
「今更後悔したって、事実は変わらないのにな・・・」

しゃがみ込み、頭を抱えたお父さん。

かけてあげる言葉が見つからなかった。

あたしよりもずっと、仁菜と一緒にいたお父さん。

その分、ダメージは相当なものだろう・・・。

そう思うと、何も言えなかった。

再び静寂に包まれた廊下。

しばらくすると、すすり泣きが聞こえて来た。

お父さん・・・。

「どうか・・・目を覚ましてくれっ・・・!」

仁菜・・・。

目を、覚まして・・・。

あたしもお父さんも、同じ事を願ってた。

何度も何度も、同じ事を願った。

そんな時だった。



―――ピーーーッ



機械的な音が、仁菜のいる病室から聞こえた。

ハッとして、顔を上げる。

「仁菜っ!?」

お父さんがすぐさま、病室に入った。

今の音って・・・。

もしかして・・・。