双葉と2人で、急いで病院に行った。
受付の人に病室を聞きだし、その階に向かう。
仁菜っ・・・。
仁菜!
エレベーターに乗ってる時間が、凄く無駄に思えた。
医師が冗談を言うわけがない。
そう分かっててはいても、心の隅では。
―――――ほんの少し、期待していた。
どうか、嘘であってくれ・・・!
ようやく仁菜のいる階に着き、急いで降りる。
キョロキョロ探しまわって、やっと。
―――――仁菜を、見つけた。
そこは、仁菜1人しかいなくて。
その代わり、たくさんの機械が置いてあって。
「仁菜っ!仁菜ぁーっ!」
双葉が泣き叫んだ。
周りにいるであろう、患者が寝ている事も忘れて。
現実、か・・・。
息を飲むくらい、綺麗な仁菜。
ホントに、満奈も仁菜も双葉に似たなぁ・・・。
「仁菜・・・」
しかし、呼びかけても返事はなくて。
少し苦しそうな息使いだけが、やけに大きく聞こえた。
そんな時。
「桜井さん」
病室に、医師が来た。
「ねぇっ!仁菜は目を覚ますわよね!?」
その途端、双葉が医師にすがりついた。
「双葉!やめろっ!」
「うんって言いなさいよっ!」
止めても、彼女は泣き叫び続けた。
それが余計に、俺の心を苦しめた・・・。
「お母さん、落ち着いてください」
こんな状況で、落ち着いてなんかいられない。
それでも俺は、
「仁菜さんの身体には―――――」
医師の信じがたい話に、耳を傾けた。

