上手く呼吸できない・・・。

目眩がする・・・。

お父さんの言葉全てが、あたしを現実をと連れて来た。

でも・・・信じられない。

仁菜が・・・死ぬ、なんて・・・。

「仁菜・・・」

たくさんの機械が取り付けられてる仁菜。

苦しそう・・・。

でも、そこにいた仁菜は穏やかな表情をしていた。

「どうして・・・こんな事にっ・・・!」

最後に仁菜と会ったのは、4月頃。

“修平っ!”

あの時は、満面の笑みを浮かべていた仁菜が。

今では目を閉じて、唇を開くことなく。

ただただ、穏やかな表情をしていた。

まじまじと現実を叩きつけられている。

だけど、あたしの頭は混乱していた。

「ねぇ・・・お父さん」
「何だ・・・?」
「何があったのか・・・教えてくれる?」

きっと、お父さんは困るかもしれない。

こんな現実、受け入れたくないかもしれない。

言いたくないかもしれない。

それでも・・・聞きたいの。

だって―――――。

仁菜は、あたしの大事な妹だから。

「あぁ・・・いいよ。廊下に行こう・・・」

お母さんの事を配慮したのか、お父さんはあたしを廊下に連れ出した。

「双葉。ちょっと満奈と話してくる」

お母さんに、そう告げて。

22時の廊下。

静かで、まるで時が止まっているようだった。

「聞いても、取り乱すなよ・・・」

疲れている、お父さんの表情。

それでもあたしに、現実と事実を。

少しずつ、話してくれた―――――。