その1ヶ月後。

ホワイトデーの時。

「仁菜、ちょっといいか?」

修平に呼ばれたの。

誰もいない、放課後の教室。

オレンジ色が、窓から差し込んだ。

まるで、小説や漫画の世界みたい。

そう思ってしまうほどのシチュエーションだった。

“2人きり”。

その言葉が脳裏をかすめる度、ドキドキした。

何を言われるのかなって・・・。

「あのさ」

修平が、ゆっくりと口を開く。

それとは対照的に、私の胸はドキドキしっぱなし。

心臓が速く動いている。

そして彼は、1度大きな深呼吸をしてから、



「俺、仁菜の事が好きだ」



少し照れたような表情で、そう言ったんだ。

「俺と付き合ってください」

びっくりして、言葉が出なかった。

「私・・・許婚がいるんだよ?」

そう・・・。

それが、告白できなかった最大の理由。

「お前に許婚がいる事も知ってる」
「えっ!?」
「俺、無理矢理にでも許婚の奴からお前を奪いたい」

突如修平にそう言われて、驚きを隠せない私。

「それでも俺は、お前が好き。一緒にいたい」

顔が熱い・・・。

修平が・・・。

私の事、好きなんて・・・。

夢を見ているようだった。

「私も、修平が好きだよ」



こうして私達は、両親には内緒で付き合い始めた。

きっとこの行為は、両親を裏切ってる事だよね・・・。

お父さん、お母さんには悪いけど、私はそれでも修平と一緒にいたいの。

こうして、私達の交際はスタートした。