「仁菜、許婚いなかった?」
「お姉ちゃん、よく知ってたね」

驚いたような顔をする仁菜。

そりゃそうだよね。

あたしだけ、桜井家は財閥だって事知らなかったもんね。

「この前、お母さんに聞いたの。それで、彼氏はどんな人なの?」

そう聞くと、仁菜は顔を赤くした。

「カッコ良くて優しくて、私を大事にしてくれるんだ」

そう言って仁菜は、1枚のプリを見せてくれた。

右にいるのは、紛れもなく我が妹。

左には・・・なかなかのイケメンくんが写っていた。

わぁ~お。

カッコいいねぇ。

まっ、隼斗には敵わないけど~。

「香住修平って言うの」

香住修平くんかぁ。

中3でこれほどの顔立ちは凄いね。

「ちょっと、会いたいかも」

素直にそう思った。

許婚がいるのに、彼氏が出来たのはちょっとアレだけど・・・。

妹を大事にしている子なら。

会ってみたい。

「会う?」
「うん」
「じゃあ、ちょっと待ってて」

仁菜はメールを打ち始めた。

そっか。

仁菜に彼氏かぁ。

そんなお年頃なんだね。

あたしは全く興味なかったけど。

しばらくして、

―――――♪~♪~

ケータイが鳴った。

それをすぐさま確認した仁菜は、

「すぐ来るって!」

笑顔でそう言った。