2人並んで、来た道をまた歩く。

「何買ったんだ?」
「秘密~♪」

満奈は、買ったモノを教えてくれなかった。

ケチだな・・・。

「ねぇ、あたし海の近くに行きたい!」

突然、満奈がそう言いだす。

「今の時期じゃ寒いぜ?」
「いいの!行こっ?」

俺の忠告も聞かずに、

―――――ギュッ

「おわっ!?ちょっ、満奈!?」

満奈は俺の手を引いて走りだした。

今日の満奈はかなりハイテンションだな・・・。

夜になる前に、こっちが疲れそうだ。

夜の営みの前にな・・・。

満奈に手を引かれ、砂浜の上を走る。

「あははっ!楽しいね」

笑ってる満奈がすげぇ可愛い。

この時間が永遠に続けばいいな・・・。

柄にもなく、そんな事を思ってた。

「夕日だ・・・」

時刻は既に17時。

日の沈む時間だった。

「綺麗だね・・・」
「あぁ」

―――――ザザーンッ

波の音が聞こえる。

人が見当たらない。

だから、満奈を抱き締めた。

「隼斗?どうしたの?」
「いや・・・なんとなくな」

多分俺はずっと、こういう“恋人っぽい事”がしたかったんだと思う。

芸能人だから、外ではこういう事は出来なくて・・・。

「好きだよ」
「あたしも」

唇同士が触れる。

外でこんな事するのは初めてだから、すげぇドキドキだ。

大事な思い出が、また増えた。