(side満奈)

この1年も、ホントにあっという間だった。

気がつけばもう、卒業式。

ついこの間、ちぃちゃんとキッズが卒業したばっかなのに・・・。

2年生になったばっかなのに・・・。

「送辞。在校生代表、2年C組、宮里真琴」
「はい」

真琴がステージに立つ。

1年前は、あそこに華歩が立ってた。

その華歩は今、あたし達在校生の前に座っている。

“卒業生”として。

「答辞。卒業生代表、3年A組、黒澤蛍」
「はい」

蛍くんが学校卒業しちゃったら、もう会えないかもなぁ・・・。

今のうちに目に焼き付けておかないと。

そうしてると、自然と目に涙が溜まる。

みんな、いなくなっちゃう・・・。

「校歌斉唱」

あたしは心をこめて、校歌を歌った。

ところどころから、鼻をすするような音が聞こえた。

「卒業生、退場」

在校生の間を、卒業生が通り過ぎていく。

蛍くん・・・。

体育祭の時、話せて嬉しかったな。

ただ、あたしが怪我しちゃって。

最後の体育祭に、笑顔でいられなかったかもしれない。

あたしのせいだよね。

ごめんなさい・・・。

華歩・・・。

彼女があたしの前を通る時。

不意に、目があった。

華歩の顔は、涙でぐちゃぐちゃ。

それでも、あたしに向かって微笑んでくれた。

だから、あたしも微笑み返した。

先輩。

卒業おめでとう。