・・・そういえば。
気になった事がひとつあった。
「隼斗、なんでここが分かったの?」
「太陽が教えてくれたんだよ。“満奈ちゃんが男と歩いてるけど大丈夫なの?”ってな」
そうだったんだ。
じゃあ太陽くんに感謝しなきゃね。
「それより・・・サボるか」
「ってかもうサボってるよ?」
「確かに」
2人で笑った。
周りにバレないように、小さく。
―――――シュルッ
「はっ!?・・・満奈?」
隼斗は驚いた顔をした。
そりゃそうだよね・・・。
気がつけばあたしは、隼斗のネクタイを解いていた。
「シたい・・・」
「マジで?」
「・・・うん」
なんでそんな気持ちになったかは分からない。
でもね、無性に隼斗が欲しいの。
「我が儘だな」
そう言って隼斗は、あたしにキスを落とす。
「我が儘な女は嫌い?」
「他の女は嫌だけど、満奈だから全然いい」
それって、あたしが特別だってことだよね。
嬉しい。
「じゃあ、帰るか!」
隼斗はあたしを軽々と持ち上げ、自分も立ちあがった。
そしてあたしを、優しく降ろしてくれた。
「静かにな」
差し出された手。
それに、あたしの手を重ねる。
すると、ギュッて繋いでくれた。
大きくて、暖かくて、優しくて。
離れたくないな・・・。
久々に手を繋いだ事が、凄く嬉しかったんだ。